3月1日(金)デンマークの大人の学校「フォルケホイスコーレ」でご活躍されているモモヨ・ヤーゲンセンさんをお迎えし、〝自分らしく生きること〟をテーマにイベントを開催しました。

「仕事は楽しいけれど、このままバリバリ働くのは違う気がする…。」
「結婚はしたい。でも、結婚後の生活に対する不安がある。」
「〝自分らしく生きる〟ってよく聞くけど、私には関係ないよね…。」
アラサー世代のOLは、今後の働き方、キャリア、結婚、出産…将来について様々な思いを抱いています。今回イベントにご参加いただいた方からも、「漠然とした不安がある。」「将来に迷っている。」というお声があがっていました。
“世界一幸せな国”と呼ばれているデンマーク。デンマークには、自分を見つめなおし、幸せについて考える大人向けの学校があります。その名は「フォルケホイスコーレ」。全寮制の学校で、年齢・性別・国籍・宗教がさまざまな人々が、共に学び、共に生活しています。
今回のイベントでは、デンマークのフォルケホイスコーレで講師としてご活躍されているモモヨ・ヤーゲンセンさんをお迎えし、デンマークでの貴重なお話を交えながら〝自分らしさ〟や〝自分に取っての幸せ〟を大切にして生きるためのヒントを教えていただきました。
モモヨさんは、「〝デンマークは日本よりも福祉が進んでいる〟とよく言われているのは、全体の一部分を切り取って見ているから。」だと仰っていました。
戦後、日本は経済大国として、デンマークは福祉大国として発展してきました。そもそも取り組んできたことが異なるので、各々が注力して進んできた分野が発展しているのは当たり前なのです。
私はこのお話を聞いて〝人〟に関しても同じだなと思いました。「あの人は、これが出来るから凄い。」「できない私は、ダメなんだ…。」そう感じた経験は、あなたも一度はあるのではないでしょうか?
けれど、それは〝デンマークは日本よりも福祉が進んでいる〟と言われているのと同じこと。「私たちは人に対しても〝ある一面〟を切り取って見ているだけで、他の面を切り取ると、誰でも何か得意なものが見つかるはず。」そんな風に感じました。

お話は「フォルケホイスコーレではどんなことを学ぶのか」に繋がっていきます。日本では、学校というと何かテストを受けたり、資格をとったりするイメージが強いですよね。しかし、フォルケホイスコーレではテストもなければ、何か資格が取れるわけでもありません。
最も重要なことは、学びは自分のためだということ。
「そのための教育は、一方通行の詰め込み教育ではなく、相互作用(=対話)こそが大切。」なのだとモモヨさんは教えて下さいました。
相互作用ということは、自分の考え・意見・価値観を、自分自身の言葉で話すということが必要です。そのためには、自分自身を理解しておくことが必要不可欠になってきます。自分自身がどのような価値観を持ち、どのようなことを大切に感じているのか、自分自身を見つめ直す時間をとることは、とても大切で貴重な時間です。
イベントでは、自分自身を<肉体、文化、精神、社会>という4側面から見つめ直し、「自分自身が大切にしていること」を考えるワークを行いました。4側面から見た全体像こそ、私たち一人ひとりのアイデンティティなのです。
フォルケホイスコーレでは、自分自身のアイデンティティを見直し、自分自身の「幸せのものさし」を見つけ出す、そういった内容の授業も行われています。

質疑応答の時間には質問が飛び交い、モモヨさんは一つ一つ丁寧に応えてくださいました。その中の一つをご紹介したいと思います。
参加者のAさんは、職場での上司との関係性について悩まれていました。上司から注意を受けたことを、ご自身の中でずっと気にされていたのです。
この質問に対して、モモヨさんは「自分自身の枠と、自分自身の行動の枠を区別する重要性」を話してくださいました。
「自分自身は変えられないし、変える必要もない。だけど、自分の行動なら変えることができます。他人と繋がっている部分は、自分自身の枠ではなく、その外側の自分自身の行動の枠なのです。だから、人間関係に悩んだとき、自分自身に焦点をあてるのではなくて、自分自身の行動に焦点をあてるようにしてみて下さい。」そう答えてくださいました。
〝自分らしく生きる〟ことは、まずは自分自身を知ること、自分にとっての幸せが何かを知ることから始まります。自分が大切にしていることや、幸せと感じることを明確にして、私だけの〝幸せのものさし〟を見つけましょう!

左)モモヨ・ヤーゲンセンさん 右)次世代OLラボ主宰 / 藤井あや
Momoyo T. Jørgensen モモヨ・ヤーゲンセン
1995:デンマーク国立介護士養成教育機関にて、社会保健介護士取得(医療介護士)
1995〜2000:精神病を持つ高齢者(認知症含む)・触法精神障害者の国立入所施設に勤務
1997〜2000:指導員認定資格取得後、現場での人材教育者として同入所施設で勤務
2000〜2005:日本人留学生を受け入れる日欧文化交流学院にて教員として勤務
国立オーデンセ教育大学で、教育指導学、教育心理学、心理学、社会学を専攻し、教員免許を取得。
2003:認知症介護ハンドブックを翻訳(ミネルヴァ書房)
2005~現在:ノーフュンスホイスコーレにて教員として勤務
2009:デンマーク認知症コーディネーターの資格取得
2016: ノーフュンスホイスコーレ、短期研修部代表として就任